おっぱいサバイバー

2015年28歳で乳がん告知。闘病の記録と感情をつづるブログ。

夫へ感謝

筆者が抗がん剤治療や手術を行ったのは2015年のため、治療に関する情報は最新と異なる可能性があります。なお、筆者の近況はTwitterで発信しています。

今回は、宣告直後の夫の行動に、感謝の気持ちを書き残します(いつも感謝はしているけどね!そして、これからもずっとお世話になるけどね!)。
家族や恋人が “がん宣告” されて、どう接するべきか分からないという方へ、少しでも救いになれば良いなと思います。

先日、 “がん告知で本人以上に動揺するパートナー” について書かれた記事を読みました。

ある50代の男性のケースです。検診の結果、胃がんであることが判明し、それを告知する日には奥さんを伴って診察室にやってきました。結果を示しながら、「胃がんです」と口にしたとたん、「あれほど検診を受けてと昔から言ってきたじゃない! 私のことを無視するからこうなるのよ!」と、奥さんが大声を上げました。

「なんだと? そんなことを言うけど、お前だって……」と、言い返すご主人。こうしてだんだんと2人で声を荒らげ始め出すと、とうとう夫婦ゲンカが始まってしまいました。

がん告知で浮かび上がる「夫婦の関係」|NIKKEI STYLE

わたしは、夫と一緒に宣告を受けました。有休をあわせて11連休だったGWの初日でした。

その日の夜、お風呂で少し泣きました。でも、ここでダメだと思ったら、本当にダメになる気がして、あまり涙は出ませんでした。知識の上では “乳がんは治る病気である” と知っていたから、自分に負けないようにブレーキをかけていたんだと思います。弱音を吐いたら終わりだと思って、夫に「一緒に頑張ろう」と言いました。頷いてもらえたことが救いでした。

とはいえ、さすがに翌日は何もする気が起きず、ボーっと過ごしていました。「11連休ヤッホー!」と喜んでいるはずだったのに。具体的な予定を入れいなかったことも災いし、ドン底の状態でGWが始まりました。このとき、一切感情的にならず、何も言わずに一緒にいてくれた夫には感謝しています。

そんなわたしを見兼ねてか、夫が急に(大繁忙期のGWに!)旅行の手配をしてくれて、宣告の翌々日には2泊3日の旅行に出発していました。京都から新幹線で行きやすい、広島・岡山・兵庫のプラン。わたしにとっては初めての広島でした。

http://www.flickr.com/photos/24965474@N00/21065148550

宣告直後は堪えていた涙も、旅先では「もう二度と旅行に来れないかもしれない」という思いに変わり、どんな景色を見ても涙が止まりませんでした。この時はまだ転移の状況も分かっていなかったので、最悪の事態が脳裏をよぎっていました。観光地は楽しそうな人々で溢れかえっていて、わたしだけが不幸な気がして、どうしようもなく悲しかったです。

でも、だんだんと旅を楽しめるようになり、「医者に宣告を受けただけで、わたしの体内が急に変わったわけではない」と思い始め、「これからつらい闘病が待っているから今のうちに遊んでおこう」という気持ちに変わっていきました。その間、どんなに人がいる中で泣いていても、何も言わずに手をつないで連れまわしてくれた夫に、本当に感謝しています。

旅行1日目の終わりには、だいぶ前向きな気持ちに変わっていました。ホテル以外はノープランだったので、わたしもやる気を出して、観光地や食事処をスマホで調べ、飲んで食べて楽しい2泊3日を過ごしました。広島では路面電車に乗って厳島神社や原爆ドーム、広島城を見て、お好み焼きを食べ、岡山では好きな洋服屋さんと後楽園、岡山城を見て、兵庫では明石焼きを食べ、新しくなった姫路城のプロジェクションマッピングを見て、なぜか城づくしで盛りだくさんな旅でした。

9歳年上の夫は、20代の妻が乳がんになるなんて信じられなかっただろうし、わたしよりつらい宣告だったと思います。でも、絶対にネガティブなことを言わず、無理に励まさず、絶対に治ると本気で信じていることが、何よりの救いです。

なんてことを、ずっと頭の中で考えていたら、今日の(30日の) ほめくり、修造! で腑に落ちました。

目に見えるものをあげたり、言葉をかけたりするのではなく、何があっても、最後までその人を信じきる。
それが、最高の応援になることもあるのです。

一番身近な人の応援は、信じてもらえることが大事なんだと思います。
というわけで、夫最高。ありがとう。

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ほめくり、修造!は ほしいものリスト からいただきました。ありがとうございます。
photo by peter.lubeck