おっぱいサバイバー

2015年28歳で乳がん告知。闘病の記録と感情をつづるブログ。

20代の乳がん治療で総合病院をおすすめする理由

筆者が抗がん剤治療や手術を行ったのは2015年のため、治療に関する情報は最新と異なる可能性があります。なお、筆者の近況はTwitterで発信しています。

わたしは、もともと単科(乳がん・乳腺専門クリニック)で診断を受けましたが、その後転院して、いまは総合病院で治療を受けています。
総合病院には、大学病院、国公立病院、民間(企業)病院と色々ありますが、今回は「病床数が多く他科診療もできる病院」という意味で “総合病院” と言いたいと思います。
▶︎ 病院とクリニックの特徴、違いを知って使い分けよう|ドクターズ・ファイル

乳がんは標準療法でも充分治療のできる病期なので、単科の病院でも問題はありません。
しかし、総合病院にはそれなりのメリットもあります(デメリットもあります、一番最後に書いています)。

臨床試験を受けられる可能性がある

臨床試験とは、新しい医薬品や医療機器、治療方法の有効性を確かめるために行われるものです。これにより、有効性・安全性が確立されると、厚生労働省から認可を受け、晴れて標準療法となります。
いわゆる「治験」というとイメージしやすいかと思います。これは製薬会社などの民間企業が主導して行われています。
一方、研究が盛んながん治療の場合は「医師・研究者主導臨床試験」が行われることがしばしばあるようです。
前者は全く新しい薬や治療法を試すことが多いのに対し、後者は既に認可されている薬や治療法の新しい使い方を試すことが多いようです。
例えば、わたしの場合は “再発性の乳がんに対し使われていた薬を、原発(再発でない)の乳がんで使う” という臨床試験を受けました。これは既にアメリカなどでは一般的な治療のようで、日本でも認可を受けるために臨床試験が行われています。

臨床試験や治験というと、不安なイメージを持つ方も多いかもしれません。特に医師主導試験の場合は、既に海外などで有効性を確かめられているものや、異なる病期(乳がんであればステージ、再発・原発など)では安全性が認められているものも多いです。
わたしは「どうせ治療するならば(現実的な範囲で)より新しい治療を受けたい」「この臨床試験でこれから乳がんになる人の役に立ちたい」という思いがあったので、率先して受けました。

がん治療の臨床試験については、以下のサイトに詳しく書かれています。
▶︎ http://ganjoho.jp/public/dia_tre/clinical_trial/ct01.html

ただし、臨床試験は受けられる病院が限られています(総合病院・大学病院だからと言って受けられるとは限らない)し、タイミングも重要になります(いつでも募集しているとは限らない)。また、身体状況によって治験登録できるとは限らないので、主治医と相談するのがベストです。

乳がんは、既に標準療法で充分な治療が治療ができるがんの一つです。それでも、自分の身体を研究材料として提供する(必要な血液や診断画像などのデータを提供する)代わりに、最新の医療を受けられる可能性があるのがメリットです。

他科との連携がしやすい

乳がん治療は、他科との連携が必要になる場合があります。

歯科

抗がん剤治療では免疫が落ちるため、虫歯がなく口内を良い状態に保つのが推奨されます。そのため、事前に歯科の受診が必要でしたが、同じ病院内にあったのですぐに行えました(結果、虫歯がなく良かった!)。

形成外科

全摘手術を行う場合、乳腺外科医のみで行うことも可能だそうですが、より審美性の観点を追求するならば形成外科医と連携した方が良いようです。手術の方法や病期で大きく異なるので、主治医が連携してくれます。

産婦人科

抗がん剤治療を行うと生理が止まることがあります(これは治療後に戻ることが多いそうです)。また、ホルモン療法では、生理を止めます。つまり、排卵がなくなり、妊娠することができなくなります(妊孕性がなくなると言います)。
特に20代〜30代前半では、治療後に妊孕性が戻ることが多いそうですが、そのまま不妊になることもあるそうです。
そのため、妊娠を希望する場合は卵子凍結保存をおすすめされます。
ちなみにわたしは、妊娠を強く希望するわけではなかったことや、すぐに治療に入りたかったので卵子保存はしませんでした。

皮膚科

わたしは副作用で皮疹が出ましたが、同じ病院内に皮膚科もあったため、すぐに受診できました。副作用による受診の場合、定期的に通院が必要になるので、同じ病院内にあるととても便利です。

総合病院のデメリット・単科医院のメリット

医師・看護師との距離感

治療の観点では、最新設備があり運用の行き届いている総合病院はメリットが大きいと思います。しかし、患者数が多く、一人のスタッフあたりの抱える患者数も多くなります。それで治療が疎かになることはないでしょうが、ゆっくり丁寧に説明を聞きたいという場合は単科医院のほうが時間が取れやすいかもしれません。良くも悪くも、総合病院はシステマチックな印象です(個人の見解です)。

主治医の忙しさ

単科医院は、基本的には毎日決まった医師がいます(医師は医院長一人という病院も少なくないと思います)。
一方、総合病院の場合は、決まった曜日にしかいない・予約が取れない、ということが多いと思います。これは他の病院へ出張したり、学会・研究活動などがあるためですが、柔軟に見てもらいたい場合は、単科医院のほうが良いかもしれません。

繰り返しになりますが、乳がんは標準治療でも充分治る病気です。
地理的状況や好みによって、病院を選ぶと良いと思います!

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