おっぱいサバイバー

2015年28歳で乳がん告知。闘病の記録と感情をつづるブログ。

乳がん確定診断後、一番はじめに買った本

筆者が抗がん剤治療や手術を行ったのは2015年のため、治療に関する情報は最新と異なる可能性があります。なお、筆者の近況はTwitterで発信しています。

確定診断 を受けた際に、先生から言われて印象に残っている台詞があります。

「20代の乳がんは、80歳のおばあちゃんがなるのとは意味が違う。これからずっと闘っていくことになるから、医者の言いなりにならずに、本を買ってきちんと勉強しなさい。」

この言葉で、信頼できる先生に巡り合えたと心から思いました(今考えても “医者の言いなりにならずに” と言える先生すごい)。
乳がんの治癒率は高いですが、その種類や治療法はさまざまで、治療が長期に及ぶことも多いです。治療が終わっても再発する恐怖があります。今後、何十年と続く乳がんとの闘いで、医師や看護師に任せっきりにせず、自ら情報を得て、理解し、納得して決定していくことは、自分を守る意味でとても重要だと思います(いわゆるインフォームドコンセント)。
今は別の病院に移って治療をしていますが、一番初めに良い先生に会えたこと、この言葉をかけてもらったことには本当に感謝しています。

さて、そんなアドバイスを受けて、宣告直後の帰りに買ったのが「患者体験に学ぶ乳がんの看護」です。

看護師さんからは「医学書や専門書は難しいけれど、看護の本は読みやすい。看護は患者さんに最も寄り添うことだから」と言われていました。先生だけでなく、看護師さんも良い方が多くて本当に良い病院でした(どこの病院か興味のある方がいればご連絡ください)。また、それでも違う病院に移った理由は改めて書きます。

患者体験に学ぶ乳がんの看護 は、乳がんになった看護師の体験談を交えつつ、病気について・患者心理について・治療の方法や副作用について、そして、それぞれにどう寄り添う(看護する)べきかが書かれています。
2007年発行なので一部古い内容もありますが、これから乳がん治療を受ける者が最初に読む本(心構えをする本)としては、とても分かりやすいです。ただ、乳がんの判定方法や治療方法については、現在と異なる部分が多いので、あわせて最新の本も読む方と良さそうです。特に、分子標的薬*1について書かれていないのが大きな点です。
これからどういうことが起きてどういう心理になるか?それらにどう対応していくべきか?を先回りして理解できるので、とても助かっています。例えば、宣告直後の絶望的な状況において、以下の文章には救われました。

「死に向かう恐怖感」と「自分には将来がないという絶望感」、そして「自分はダメな人間という焦燥感」というSさんに起こった3つの強烈な感情は、まさに社会的痛みsocial pain(仕事、養育、財産問題)とスピリチュアルペインspititual pain(霊的痛み、死の恐怖、人生への問い)であり、人として生きる価値に関わる脅威だと言えます。特に「自分はダメな人間という焦燥感」は事故による重度の外傷を負った人や、重い病気になった人々が持ちやすい罪の意識です。
P. 46

一般的には、告知を受けてからの1週間が衝撃や不安の強い時期であり、家族などの重要他者の支えが大きな意味をもちます。
P. 47

これによって、宣告直後に「わたしが抱いている感情は当然のものであること」、そして「それは1週間程度で落ち着くこと」を知り、つらいながらも、少し安心できました。
ただ、病気に対する知識は良いものばかりではありません。読むのがつらいと思ったらすぐに止めた方が良いと思います。わたしは、読めるときに読めるところだけ読み、調子の良いときに知識を蓄えるようにしています。