おっぱいサバイバー

2015年28歳で乳がん告知。闘病の記録と感情をつづるブログ。

待合室で起きた拍手

筆者が抗がん剤治療や手術を行ったのは2015年のため、治療に関する情報は最新と異なる可能性があります。なお、筆者の近況はTwitterで発信しています。

わたしの通う病院は、非常に大きな大学病院です。がん患者専用の外来棟があり、抗がん剤や分子標的薬の治療では、いつもそこに通っています。

がん患者専用の外来というと、どんなイメージを持つでしょうか。頭髪のない方や痩せた方、さらには車椅子の方が多い… なんて想像をする方もいるかもしれません。

実際には、そういった方々はイメージより少ないと思います。ウィッグやケア帽子の方はいるけれど、髪の抜けない方、一度抜けて戻ってきている方もたくさんいます。あくまで外来なので、自力で生活できるような方々が多いです。


とはいえ、薬の副作用に苦しむ方もゼロではありません。わたしは、抗がん剤治療中に、待合室で吐いたこともあるし、待ち時間に耐えきれずに処置室で寝かせてもらったこともあります。

雰囲気は、どうでしょうか。暗くネガティヴなイメージが強いかもしれません。

幸い、わたしの通う病棟はとても新しく、明るくきれいで快適です。外来で治療をする患者さんは早期がんの方も多いし、前向きな方が多いような印象です(わたしが自分自身にそう言い聞かせている、という面もあるとは思いますが)。

今日、その待合室の大きなテレビ画面に、オリンピックが映されていました。卓球団体男子決勝でした。水谷選手が格上の中国相手に逆転し、最終セットをとった瞬間、待合室で拍手が起きました。

病に立ち向かう人たちが、ひとつになって、勇気をもらった瞬間でした。いつもなら待ち時間に耐えるわたしも例外でなく。

昔のわたしは、スポーツで勇気をもらうのは、安っぽくて格好悪いと思っていました。何かほかのものから勇気をもらう必要がないほど、恵まれた人生だったのかもしれない。

いまは、苦しみを乗り越えて、勇気をもらう大切さを少しだけ理解できた気がします。つらくて長い治療や先の見えない不安もあるけれど、思うほど未来は悪くないかもしれない。