おっぱいサバイバー

2015年28歳で乳がん告知。闘病の記録と感情をつづるブログ。

乳房全摘事故に思うこと

筆者が抗がん剤治療や手術を行ったのは2015年のため、治療に関する情報は最新と異なる可能性があります。なお、筆者の近況はTwitterで発信しています。

昨年12月、乳がん患者にとってショックな医療事故が発表されました。

千葉県がんセンター(千葉市)は25日、早期の乳がんの30代女性患者(千葉県在住)と、別の患者の検査結果を取り違え、誤って30代女性患者の右乳房を手術で全摘出したと発表した

スポーツ報知

患者Aさん(30代、早期の乳がんで全摘不要)と、患者Bさん(50代、進行性の乳がんで全摘必要)の検体をどこかで取り違え、誤ってAさんの乳房を全摘したという、一見すると初歩的な医療事故です。

今日1月9日に発表された記事によれば、取り違いは、病理診断前に起きていたとのことです。
保存する容器の入れ違いやラベルの貼り間違い、もしくは、そもそもスタッフが患者の名前を勘違いしていた、などの簡単なミスだったのかもしれません。

千葉県がんセンター(千葉市)が乳がん患者の検体を取り違えた医療事故で、取り違えられた患者2人の検体は、医師による採取から病理診断前の保存作業までの間に入れ替わっていたことが8日、病院関係者への取材で分かった

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160108-00050136-yom-soci

この医療事故について、原因究明は調査機関が行ってくれることとして、ひとりの乳がん患者の視点で感想を書きます。

以下の記事によれば、Aさん(30代女性)の喪失感に怒りを覚える声が多いといわれています。

乳がん患者や支援団体などから怒りや不安の声が上がっている。

「乳房は女性として大切なもの。喪失感は計り知れない」「気の毒で言葉にならない」など衝撃は大きく、真相究明と再発防止の徹底を訴えている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/20151226-OYT1T50072.html

確かに、Aさんにとって、医療施設側のミスで乳房を失くしたこと、治療の選択の余地を奪われたこと、そして何より医師や病院に対する不信感は、あまりにも大きいと思います。わたしは、年齡も病期も近いため、まったく他人ごととは思えないし、想像するだけでも震えます。

一方、Bさん目線のほうが、患者としての恐怖感は大きいと思っています。
Bさんの詳しい病状は公表されていないようですが、Aさんに比べれば、緊急度・重要度ともに高い症状であると推測されます。もし、Bさんがこのまま適切な処置を受けられなかった可能性があるかと思うと、恐怖でしかありません。

医師の視診などで進行がんを疑われていたとのことですが、もし視診で分からないようなタイプの乳がんだったとすると、このまま気付かれなかった可能性も有りえます。

もう1人は50歳代で、医師の視診などで当初から「進行がん」が疑われていた。
(中略)
しかし、検体が取り違えられていたため、「50歳代の女性からがん組織が見つからない」という事態になったが、同センターは「針生検(の精度)には限界があり、がん組織が採取できないことはしばしばある」として、この結果を「偽陰性」と判断。検体の取り違えを疑わず、再検査を行って進行がんと診断し、必要な治療を行っている

http://www.yomiuri.co.jp/national/20151227-OYT1T50010.html


いずれにせよ、事故が起きた原因が早く解明されることを願っています。
どんなに医療が発達しても、ヒューマンエラーをゼロにするのは無理だと思うので、何らかの仕組みができると良いのだけれど。