おっぱいサバイバー

2015年28歳で乳がん告知。闘病の記録と感情をつづるブログ。

AFTER5 というプロジェクトを始めました!

この度、AFTER5(アフターファイブ)というプロジェクトを立ち上げました。がんや難病などの患者さんにインタビューを行い、「告知から5年」以降の情報を集めるWebメディアを作ります。

わたしにとって「5年生存率」とは、不安であり希望のキーワードでした。告知直後、数年後どのような生活になるのか想像できず、乳がんに対する知識もなく、生きていられるのかさえ不安でした。そんな中、繰り返し検索した5年生存率。このブログでも何度か触れてきました。

乳がんステージ2の5年生存率は90%を超えており、がんの中では比較的高い値です。ただ、実際の患者さんが、5年後にどのように生活しているのかはなかなか見えません。仮に“生存”できたとしても、好きなことはできないのかもしれないと思うこともありました。

おっぱいサバイバーを立ち上げる際、記録を残すことで、自分自身を鼓舞すると同時に「乳がん治療に臨む人や、その家族の励みを増やしたい」*1と思っていました。わたし自身が、病気を克服した著名人が活躍する姿や、闘病ブログなどを見て勇気をもらっていたからです。先日、わたしは告知から4年を迎えました。このブログも想像を超えるたくさんの人に閲覧され、立ち上げ当初の思いが多少なりとも叶っているのかなと思っています。

次のステップとして、自分の言葉だけではなく、さまざまな病の人たちの5年後の姿を集めることで、より多くの人の励みになるかもしれないと考えるようになりました。ネット上には数えきれない闘病ブログがありますが、その中で5年以上継続しているものは多くありません。わたしも、最近の更新頻度はすっかり減っています…。他者からのインタビューという形をとれば、もう少し情報が集められるかもしれないと思っています。

治療や経過、病状は人それぞれですが、AFTER5が誰か一人の勇気になるよう運営を続けたいと思っています。まずは、プロジェクトの実現に向けて、インタビューに答えてくださる患者・元患者の方と、プロジェクトを手伝ってくださる方を募集しています。少しでも気になる方は、コメントでも構いませんので、ぜひご連絡をください!

after5project.com

鈴木美穂さんの『もしすべてのことに意味があるなら』を読んだ

元日本テレビのキャスターで、ご本人も乳がん患者である鈴木美穂さんの『もしすべてのことに意味があるなら』を読みました。

もしすべてのことに意味があるなら がんがわたしに教えてくれたこと

もしすべてのことに意味があるなら がんがわたしに教えてくれたこと

全体としては、「告知と治療についての記録」「仕事との向き合い」「マギーズ東京をはじめとした個人活動」「恋愛・結婚」といったところがキーワード。本のタイトルから、ちょっとスピリチュアルっぽい内容かな? と想像していたのですが、あまりそういうことはなく、ほとんど(良い意味で)普通の闘病記です。普通でない点は、美穂さんがキャスターであることとマギーズ東京をオープンさせるくらいアグレッシブであること。本文は、わかりやすいことばで分量も多くないので、スムーズに読めれば1〜2時間くらいで完読できると思います。

24歳で告知、その後10年を経ての出版で、同じ若年性乳がん患者としては勇気になりました。日テレ勤務(だった)ということで、仕事をしながらの闘病・病気との向き合い方は、「ハードだなあ」と思う面と「恵まれているなあ」という面があって、働きながら闘病をした身としても興味深かったです。

一方、特に冒頭では、強く感情移入をしてしまい、読み進めるのがつらかった。告知の日付(!)もがんのタイプも一緒で、どうしても、自分を重ねてしまいました。冒頭ですぐに読めると書きましたが、わたしは数日寝かせました。今まさに闘病中の方は、元気があるときに読むと良いと思います。

日付は、美穂さんは2008年5月2日24歳のときだそうで、わたしは2015年5月2日28歳のとき。本文中に「ロールモデルを見つけよう」と書かれてますが、まさにわたしにとって美穂さんはロールモデルの一人だなと思いました。わたしも、10年経ったらあとの人生はおまけだと思って、好きなことをして過ごしたいな。

ちなみに、「マギーズ東京」とはがん患者や家族が気軽に訪れることのできる施設で、2008年にイギリスで産まれたもの。これを2016年に東京に開設したのが美穂さん(と、共同代表の秋山さん)だそうです。

特に印象に残ったところ

マギーズ設立の活動に際して、知り合いの社会起業家の方に言われたということば。

「自分以外の全員がいなくなっても続ける覚悟があるのなら、やったらいいと思う」

マギーズの活動が軌道になってきたとき、美穂さん自身が考えたという部分。

「わたしの活動や発信によって誰かが傷ついているかも入れない」と想像すればするほど悩むようになりました。
〜中略〜
善意でも、それがいらない人もいる。誰かにとってはありがたい灯台のような存在でも、誰かにとってはまぶしすぎたり目障りだったりすることもある。
〜中略〜
でも、どんなに悩んでも、結局は自分にできることを最大限、愚直にやるしかない。わたしが行動し、発信することで役に立つ人が一人でもいるならば、その人のために頑張りたいと思っています。

いずれも、このブログで発信することについて、考え直しました。そして、わたしもまた、強い意志で、誰か一人のために、やりたいことをやっていくぞ! という気持ちを新たにしました。

仲間を募集してます!

ホルモン治療と頭痛

…半年ぶりの更新です。いきなり言い訳をすると、もうほとんど普通に暮らしているので、なかなか書くことがないのです。

“普通に” 暮らすと、仕事も趣味も充実して、つまり病気以外の事柄の占める割合が増えて、闘病という概念が減っていく。このブログを読んでいるという友だちには、「更新頻度が減ったのは、元気だってことだから嬉しい」ということを言ってもらえたので、それはそれで良いことだと思っています。

とはいえ、ホルモン治療は続いています。半年に1度打つリュープリン(注射)と、毎日飲むタモキシフェン(錠剤)。トータル10年と言われる治療は、なかなか終わらない。リュープリンはあと2年くらい、タモキシフェンはあと7年くらいは続くと思われます。

さて、そのホルモン治療。薄々気づいてはいましたが、副作用として、頭痛がときどき出ています。頻度にバラツキはあるけれど、だいたい月1日か、多くて3日くらい。

わたしの場合、①抗がん剤治療 → ②手術 → ③放射線治療 → ④ハーセプチン → ⑤ホルモン治療と、結果的には副作用が強い順に治療を行ってきました。体感としては、抗がん剤が圧倒的につらく(といっても耐えられないほどではないですが)、それ以降の治療では、副作用を誤差のように感じていたのだと思います。実際、頭痛といっても、軽ければ数十分で落ち着くし、少しひどくても市販のロキソニンを飲んで寝れば治るし、生活できないほどでは全くないのですよね。

しかし、社会復帰して3年。なーんか、頭が痛いことが増えたなーと感じる日々。乳がんになる前も、年に2、3回は頭痛になることがあったので、そこまで気にしていなかったですが、やはり少し頻度が増えた気がする。これは思い込みかもしれないけれど、季節の変わり目(特に春になる時期)や、天気によって変動する気がする…

というわけで、主治医に「頭痛になりやすい気がするんですよね」と言ったところ、即答で「副作用でしょうね」とのこと。やっぱりそうでしたか… わかってはいたけど、そう言われると安心するような、がっかりするような。 そして、治療を続ける以上は根本的に解決する術はないので、付き合っていかないといけない。わたしの場合は、そこまでひどくないので、主治医にも確認して、市販の頭痛薬を飲むことしました。

主治医からは、「頭痛は本人しかわからないので、おかしいと思ったらすぐ言ってね」というコメントをもらい、また、頭痛で恐れるのは脳への転移だけど、その感じだと大丈夫だろうとの判断で様子を見ることに。あわせて「再発が一番起きやすいのは、最初の4, 5年間だから、あと一山がんばろう」と励まされました。ちなみに、2019年の5月で、告知から4年になります。

頭痛は、季節や気象が関係しているような気がしているので、「頭痛ーる」というアプリを入れて、様子を見ています。ちなみに、もうひとつ気になる副作用として、「乗り物酔いの悪化」もあるんですが、こっちはだいぶ慣れてきたのでなんとか暮らしてます。いずれも、ホルモン剤からくる更年期症状で、自律神経が乱れ気味なのかもしれない(想像)。

長い治療なのでうまく付き合っていきたいですね。

写真はタモキシフェンのジェネリック医薬品。最近、オレンジ色のものになりました。

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タモキシフェン